日本人初の聖像画家で、日本人として初めてロシアに留学して画を学んだ女性、「山下りん」 聖名「イリナ」。
維新から大正にかけて、様々な苦難を乗り越えながら芸術と信仰の本質を悟って行く大感動作。
あの「雲上雲下」の朝井まかて作ということでソートー期待したのだが、それ以上の出来映えに、何度目頭をあつくしたことか。
特にニコライ大主教の言葉には、胸をはげしく揺さぶられる。「いっつも言ってるだろう。わたし、ロシアの正教。広めたいわけじゃね。ロシア正教会の助け借りてるが、回し者ではないです。わたし文明も実利も利用したくない。なぜなら、近代文明、餌にして異国を征服せんとする態度、正教の真理に反します。わたし、日本人が持つ宗教的な心、好きでたまらね。だから日本人による正教、大切。聖なるもの、求めてやまぬ心さ。ロシアやギリシャにも、そんな日本人、もっと知ってもらいたい。んだから献呈する聖像画、日本人の手で描かれねばならねえ。が、その心、日本人に沁み渡っているだろう。日本人とロシア人、似ているのす。素朴で敬虔で、森や草、小さき優しき生きもの、聖なるものに親しむ。よく笑うところも似ている。お前(め)さん、留学していたからわかるだろう。」
by 昨日貫之
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- 2022/04/18(月) 12:00:00|
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