名残の花

江戸の末期に幽閉され、20年ぶりに明治の東京へ戻って来た、元南町奉行。徳川の時代は、お上の援助によって隆盛した能楽一座。時代に流されず、己の信念を通そうともがきながら、新時代の強い風当たりが骨身にしみる…見事な読み物でした。

「朝の来ない夜はない。」「春の来ない冬はない。」これがポイントであろうと思うのだが、（たしかにその通りなのだが）それが果たして1年後なのか50年後なのか100年後なのか…分からないからこそ、その後の準備を怠るなと言う事なのだろうが、つらいよね。だって生きてる内に来るかどーか分かんないもん。それでも精進を怠るなと…

「国が富み栄えて、それで何になる」「守りたいものを捨てねば手に入らぬ繁栄が、果たして人に必要か」と言うけれど、結局富と自由を守る事は敵対するものではなく、人々が自由に活動出来るようになるには、やはり社会にも国にも富と繁栄が必要だと言う事だよね。商売をやっていると、つくずくその事が良く分かります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by 昨日貫之



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