小野田寛郎

「約束の時間を２０分ほど過ぎたところ、小野田が右手を挙げながら、こちらに向かって急ぎ足で進んできた。
「あんた、京都で会った斉藤さんだな。家には町枝がいたので詳しい話は何もできなかった。今日は時間を
取ってあるから何でも聞いてくれ。ルバング島のことだと話していたが・・・」「いいよ。写真を撮るのはOKだよ。」
「さて、ルバング島のことだが、今まで誰にも話していないことがあるんだ・・・」

「困るんですよ、勝手に写真を撮るなんて・・・」振り向くと顔を強張らせた町枝がいた。「あなたも、しつこい方ですね。
何を小野田から聞くのか分かりませんが、小野田の晩節を汚すような記事を書いたら、私は黙っていませんよ。」
それから６年後に小野田はこの世を去った。９１歳だった。

フィリピンに日本軍が隠したとされる金塊がある事は衆知の事実だが、その財宝の由来や、隠し場所、
それに関係する軍人や中野学校出身者への取材で分かって来た事柄等のルポなのだが、米国人・シーグレーヴ氏が
書いた「山下財宝」伝説のウソを暴いて行く所が滅法面白い。シーグレーヴによると、それには皇室がからんで、
満洲や北方から盗み取った財宝と言う事なのだが、事実は・・・コイツは実際に読んで頂いた方が宜しかろうと・・・



　　　　　ｂｙ　オラッチ



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